ロンドン滞在三日目。
この日からは一期一会の出会いを求め、ひたすらロンドンの街を歩いてヴィンテージマーケットを巡ります。
ヴィンテージコスチュームジュエリーの巨大倉庫での買い付けの様子を綴った、前回のブログはこちら→「イギリス買い付け日記 DAY2」
買い付けの様子をお届けする前に、今回の旅で宿泊した素敵なホテルのご紹介を。
アメリカ、ドイツ、チェコと色々な国で買い付け旅をしてきて分かったのが、私が買い付け先のホテルに最も求めるのは、自分の部屋にいるかのように感じられるアットホームさや安心感かもしれない、ということ。
買い付け旅は普段の生活の何倍もエネルギーや神経を使うので、ホテルに帰ってきた瞬間、ほっと気を抜いて静かに過ごしたい。
ホテルに足を踏み入れるたび、感性が喜ぶような色やアートがあれば、なお嬉しいなと思っています。
その点で、今回選んだホテルは私にぴったりでした。
素敵なカラーコンビネーションが印象的。
目を楽しませてくれるたくさんのアート。
大きな窓のあるロビーでは、ソファに座って読書したりお茶を飲んだりして過ごすことができます。
ホテルの内装で個人的に一番のお気に入りスポットが、この階段と踊り場。色とパターンの組み合わせが好み。
フォルムと重さが素敵な、ゴールドの鍵。(ドイツ、チェコで泊まったホテルのお部屋の鍵も凄く好きでした。)
可愛いお部屋。ブルーの壁紙とランプシェードに、赤みの強い木製家具。
国内外の出張に必ず同行してもらっている、Charlie Bearsの小さなテディベア。
お部屋は決して広くはありませんが、元々こじんまりした空間が好きということもあって気になることはなく。
最初から何だかすっと気持ちに馴染んでくれて、買い付け終わりにほっとひと息つくことのできるお気に入りの空間になりました。
フレンドリーで温かいスタッフたちが、アットホームな雰囲気を作り出してくれているのも良かったです。
ある日、疲れた目をこすりながら出かけようとすると、ロビーに居たスタッフが私が涙しているのかと思ったようで「泣いてるの?何か悲しいことがあったの?」と追いかけてきてくれたこともありました。優しい・・
実は事前に日本でチェックしていたホテルのレビューに、「部屋にネズミが出た」というものがちらほらあり。(建物が古いため、ある程度は仕方がないようです。)
それも覚悟の上で選んだホテルでしたが、特に何とも遭遇することはなくラッキーでした。笑
お部屋の大きく開放的な窓からは、昼夜問わず芝生でくつろぐ人たちの姿が目に入り、日々気持ちが癒やされました。
さて、ホテルのお話はこの辺にして、そろそろ買い付け日記に話を戻すことにします。
買い付け三日目は、早起きして電車でアンティークマーケットへと向かいました。
大きな駅で乗り換えをしたのですが、目的の路線のホームまでの道のりが長すぎる上に難解すぎて、一体いつまで歩くのだろうかと焦りました。遠かった・・
既にぐったりしてしまいましたが、やっと電車に乗れて一安心。
オフィスビルがそびえ立つ駅に降り立ちました。
駅前で見つけた、好みのストリートアートたち。
駅からだんだんと離れていくにつれて、みるみるうちに雰囲気が変わっていきます。
街中の花に癒やされる。
目的のアンティークマーケットが開催されている、広場へ到着。
規模は小さめですが、このマーケットにはインテリア小物、絵画、雑貨、食器、ジュエリーなど、たくさんのユニークな品々が屋内外に集まっています。
ヴィンテージコスチュームジュエリーからアンティークのハイジュエリーまで、ジュエリーの品揃えも豊富で、クオリティの高いお品が多い印象。
大きなテディベア、可愛い・・!
あるお店で、ネックレスの山の中に一本だけ気になるチェーンを発見。
絡みに絡んだネックレスたちを解いていくと、なんとERMANI BULATTIのお品でした!
レアで嬉しい出会い。何も逃すまい、と一つ一つ凝視していて良かった・・!
秋にぴったりの美しいビジューブローチ。オーストリア製。
ジュエリーボックスにしたら素敵であろう、メタルボックスたち。
仕入れるかどうか非常に悩みましたが、予算の全てをジュエリーに注ぎ込みたい気持ちが強かったので、今回は見送りました。
他にも面白いものがたくさん。一体何に使うの?と思わせるものほど、興味を惹かれます。
このマーケットはよく見れば見るほど良いお品が発掘できたので、予定より大幅に時間をかけ、何周もして吟味しました。
買い付けの間、どこからともなく現れた女の子が会場に響き渡る声で歌い続けていて、情感溢れる迫力の歌声はまるでディーバ。
あまりに大人びた歌い方に、ディーラーさんたちも私も何度もクスッと笑わせてもらいました。
ここでは、普段は買い付けることのない天然石ジュエリーをはじめ(ガーネットの素敵なシルバーリングに出会えました)、ユニークな品々を選りすぐって買い付けることができ、満足してマーケットを後にしました。
電車に乗り、別のマーケットへ移動。
露出した配線はときめきポイント。
車内から見えた、駅ホームの『千と千尋の神隠し』の広告。
植物を携えている人を見かけると、幸せな気分になります。
目的の駅に到着しました。
降り立った瞬間、他の街とは雰囲気が全く違うのを肌で感じました。
ここは中東やバングラデシュ系移民が多い地区で、エスニックなムードが漂っています。また、グラフィックアートの聖地でもあり、かの有名なバンクシーの作品もこの街でいくつか見つけられるそう。
これまで巡ってきたマーケットが、歴史ある古き良きマーケットであったのに対して、これから向かうヴィンテージマーケットは、若者が集まる熱いトレンディースポットといった雰囲気の場所。
トラディショナルというよりはアヴァンギャルドな感性を期待して、行ってみることにしたのです。
いざ、地下にあるマーケットへ。
オーナーさんも若い方ばかりで、新進気鋭といった雰囲気。
大胆で攻めた雰囲気が良い。
パンクなマーケットにDiorなどハイブランドのヴィンテージアイテムが並ぶ様は、ちょっとした異世界のよう。
バーバリーのヴィンテージトレンチ専門のお店なんかもありました。
ヴィンテージコスチュームジュエリーも多くあったので、時間をかけて一つ一つ見て回り、何か見落としはないかと三周したのですが、心から買い付けたいと思う好みのお品に出会えませんでした。
「せっかく時間をかけたのだから」「せっかくここまでやって来たのだから」という理由でセレクトすることはないので、何も選ばずこのマーケットを去ることに。
すっかり夕方になってしまっていたので、ホテルへ戻ろうと移動していると、首に二匹の蛇を巻いたままバイクに乗るスキンヘッドの大柄男性が登場して驚きました。
通りすがりの女性がその蛇たちを愛でていて、私もかなり触りたかったのですが、何とか耐えました。
ホテルへ帰還。
この時期のロンドンは夜21時半頃まで空が明るく、朝からフル活動して部屋に帰ってもまだ外はお昼のよう。何だか不思議な感じです。
この日はあまり多くのお品を買い付けられたわけではありませんが、一点一点思い入れのある素敵なジュエリーを集めることができました。誰かに着けて楽しんでいただける日が、とても楽しみです。
次回ブログでも、引き続きヴィンテージマーケットでの買い付けの様子をお届けします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。