Seiboth社訪問買い付け2日目。
前回のブログはこちら→「ドイツ買い付け日記 DAY1」

この日は9時間みっちり、ジュエリーを選んできました。
まずは初日にピックした全てのイヤリングを試着し、ピアスは合わせてみて、試着した状態を鏡で色んな角度から確認する作業に入ります。

鏡は、本当の肌色を映すといわれているナピュアミラーを使用。
ジュエリーは手の上で見るのと着用するのとでは、印象が違うことが多々あります。試着と同時に、商品の状態やクリップの具合も検品。
今回の買い付けでは、商品に修理したい箇所があればすぐ隣の工房にいる職人さんに回し、その場で私が修理後の状態を確認する、というフローにしていただきました。
Seiboth社のジュエリーが生まれる工房。


膨大な量のジュエリー型やヴィンテージパーツが収められています。



個人的にかなりときめく光景。

一体何万個あるのでしょうか...!



圧巻のボリューム。これらのパーツの収納場所や年代を把握している社長や職人さん、改めて凄いです。


古いジュエリー型。

修理希望のジュエリーについて相談すると、隣の部屋ですぐに作業にあたってくださる職人さんたち。

本当に助かります。職人さんたちとの2年ぶりの再会も嬉しい!
事あるごとに何十回も社長や職人さんを呼びに行っていたため、少し困らせてしまっているかもと思うこともありましたが、一つ一つ最大限対応していただいて有り難かったです。私は相当こだわりが強いようです...
鎖骨まで届くイヤリング。

魔女カラー。

こちらの色も良い。大ぶりジュエリーは、やはり一段と気分が上がりますね。

ここに来てから、元々大きい耳たぶがさらに伸びてしまうのではと思うほど、夢中で試着を繰り返しました。笑

Seiboth社にいてSeibothのジュエリーに触れていると、凄くパワーをもらえます。
ここにあるものは、誰かに気に入られようとして作られたのではない、と伝わってくるからです。

【自分の世界を、自分の思う通りに形にしたい。これが自分にとっての「美」であり、それに対する他人の反応なんて何ら恐れない。】
そんな強いメッセージが、ジュエリーのデザインから放たれているような気がして。
贅沢なピルケース。Seibothで雑貨をセレクトするのは初めて。ピアスやリングを入れても素敵かと思います。

やっとのことでイヤリング・ピアスの最終選定を終え、次はブレスレット、ネックレスの試着と検品へ進みます。

なんと今回、
・ネックレスチェーンが好みでない場合、ストックにある好みのチェーンを選んで付け替えてもらう
・ネックレスの長さが好みでない場合、仕様上可能であればチェーンをカットしたり、アジャスターを追加することでレングスを変更してもらう
こんなわがままを聞いていただけることになりました。
ペンダントのデザインは大好きなのに、チェーンのデザインや長さに納得がいかない、ということがよくあるので、このご対応は本当に有難く、感謝しかありません。時間の許す限り、こだわらせていただきます。
早速カスタムしていただいたネックレス。

ペンダントは凄く気に入ったものの、元々のチェーンがあまり好みではなかったので、デッドストックの中から好きなチェーンを選んで職人さんにセットしていただきました。
こちらのドラゴンのネックレスはチェーンを15cmほどカットしていただき、より着用しやすい長さにアレンジ。

かなり短めのチョーカーなどは、より多くの方にフィットするようヴィンテージチェーンで新たにアジャスターを制作して付けていただいたり。
一体何本のネックレスに変更を加えてもらったか、数え切れません。
たわわに実る、フルーツのようなネックレス。カラーコンビネーションが絶妙で美しく、着用すると高級感があってとっても素敵でした。

深海のイメージで選んだブルー。カボションが好きで、つい集めてしまいます。

お客様からのリクエストでお探ししたコインネックレス。

裏側もとっても素敵なデザイン。
SeibothがMARC LUBERAというブランドのために制作したものです。


装飾品に携わっていて常々思うのが、同じジュエリーでも、着ける人が元々持つ色素、骨格、雰囲気によって、印象が様変わりするということ。
間違いなく素敵なお品なのに、私が着用するとどうしてもその魅力が最大限に映えないジュエリーも多く存在します。

私は自分という素材についていくつかプロに診断を受けて分析しており、試着した際にジュエリーの魅力が引き立たないと感じる場合には、その理由が自分のどこにあるかを、できる限り論理的に判断するようにしています。
(ちなみにご参考までに。私のパーソナルカラー:1stディープオータム 2ndディープウィンター、顔タイプ:エレガント、骨格:ウェーブ、パーソナルデザイン:グレース/ロマンス)
自分以外の人の肌の上でなら輝くだろうと判断したジュエリーについては、色々な方の姿を想像して頭の中で試着してもらったり、その場に誰か他の人がいる場合は、その人に実際に試着していただいてチェックしたりもします。
やっとのことで、ネックレス、ブレスレット(全然写真を撮れていませんでした)の最終ラインナップを決め終わり...!
初日手付かずだった、リングのセレクトに移ります。


この辺りからタイムリミットが迫り始め、ほぼ撮影できず。
職人さんたちが退勤されてからは、修理希望のアイテムは社長自ら、出来る限り修理してくださいました。
今回どうしても手が回らず、数は少なくなってしまいましたが、ブローチもセレクトしました。
途中までストーンをセットしたところで時が止まっている蜘蛛。私ならここにどんなストーンを入れるかな、と想像してみたり。

見惚れる色と輝き。

美しき蛾。元々蛾の造形が好きなのですが、今回のカウフボイレン滞在中は毎日蛾に出会ったので、その思い出も込めてセレクトしました。

連日、ホテルとSeiboth社間を社長が車で送り迎えしてくださっていたのですが、その車の中に毎回蛾が入り込んできました。
そのたびに社長、ドイツ語通訳の方、私全員のリアクションが非常に薄くて、何だか少し面白かったです。
そして、私が泊まっているホテルの部屋にも毎日蛾が。一度外に逃したのに次の日にはまた入ってきており、共に生活していました。笑
予算オーバーで今回は購入していませんが、本当に美しくて見惚れてしまったブローチ。いつか手に入れたい。

ここで、Seiboth社が過去Diorのために制作したコスチュームジュエリーをいくつかご紹介します。

以下の写真は、全てSeibothがDiorのために制作した作品です。


うっとり。


Erhard Seiboth(現社長の父であり創業者)が、Chrisian Diorのために仕事をしていたことが記された書籍。


Seibothは他にもChanelやYves Saint Laurentなど有名ブランドのコスチュームジュエリーを制作し世に送り出してきましたが、職人に徹し、社名を表に出すことはほぼありませんでした。
Diorのために制作したブローチ。

こちらのネックレスたちは、元々Diorのために制作した作品(本に掲載されているもの)に、カラーやデザインのバリエーションをつけたものだそうです。

一つのネックレスに、何と500石以上ものストーンが留められています。職人さんの手仕事、素晴らしいですね。

今はまだ手が届きませんが、いつか仕入れられるようになりたいです。
私が実店舗を持っているショップだったとしたら、非売品のシンボルアイテムとして必ず一つ迎えて、常にお店に飾っているだろうな。
こちらも、SeibothがDiorのために制作したネックレス。素晴らしいの一言。

実物の美しさを、写真でうまくお伝えできず悔しい...!
コスチュームジュエリー展に展示されるレベルの逸品だと思います。

裏側にDior刻印有り。こちらは非売品とのことでした。

資料には他にも、Seiboth氏がデザインした麗しきネックレスたちの写真が。


なんとSeiboth氏はジュエリーデザインを学んだことがなく、自らの感性に従ってデザインしていたのだそうです。
通常、有名ブランドは自社デザインをジュエリーメーカーに持ち込んで制作依頼をするのですが、Seiboth氏のデザインが非常に優れていたために、彼がデザインしたジュエリーを例外的にそのまま購入していく、ということが多々起きたそうです。
Seibothのジュエリーがこんなところにも。こちらのドイツの舞台女優が着用しているのが、Seibothのコスチュームジュエリー。

買い付け終了間際になって、実はここにも扉があってブローチが隠れてるよ、と社長に教えていただきました。

見たかったー!全然間に合いませんでした...
二度来ても、まだまだ知り尽くすことのできないSeiboth社の全容。
ところで、社長は2年前に「Seiboth社の後継者が決まっていない」とお話しされていました(彼女の子供たちに会社を継ぐ意思がないため)。
非常に残念なことに、現在もその状況は変わっておらず、Seiboth社のコスチュームジュエリーは、次の世代まで制作・販売が続く見通しが立っていません。
もし私が娘さんだったら、いや、私がドイツ人だったら、絶対に立候補するのに...!
現社長の後継者がいないことだけではなく、Seiboth社で昔から使用してきた素材が現在手に入らなくなっており、そもそも制作できるジュエリーの種類が減ってしまったことも問題だそう。
かつてはスワロフスキー社の大きな顧客であったSeibothですが、現在は中国がスワロフスキー社の最大顧客となり、Seibothのジュエリーの主素材であるスワロフスキークリスタルを、以前のように仕入れることさえも難しくなってしまいました。

戦後、かつては500社ものジュエリーやガラス工芸の工房があり、職人の街だったここカウフボイレン。
大量生産・大量消費の時代の波に押され、それらはどんどん姿を消してゆき、現在はSeiboth社を残すのみとなりました。


いつまでSeiboth社からの買い付けを続けていけるのか、正直なところ分かりません。
非常に微力ではありますが、私がSeibothの作品を一人でも多くの方に届け、世に残すために頑張ろう、と改めて心に決めた訪問となりました。

↑社長が社内の一角に作ってくださった、私専用のお取り置きコーナー。
これらはまた時期を見て、ドイツから送っていただく予定です。
今回ドイツで買い付けた商品は、オンラインショップにて毎週少しずつご紹介しています。
また、当店では、円安が進んでいる中でも以前の価格帯を維持できるよう最大限努めております。
しかし、前回Seibothで買い付けを行ったときに比べ、ユーロが20円以上も上がってしまったため、販売価格もどうしても少し上がってしまう商品が増えていきそうです。
大変心苦しいのですが... どうかご理解いただけますと幸いです。

これにて、ドイツ買い付け完。
かなり長くなってしまいましたが、買い付け日記を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
